こんにちは、としきです。
400mハードルの世界大会で2度の銅メダルを獲得された為末大さんが書かれた書籍、
【諦める力】 勝てないのは努力が足りないからじゃない
を読みました。
アスリートの世界は、小さな頃からいかに好きな競技にのめり込み、人生をささげて努力をし続けることが出来た人が結果をだすものってイメージがあります。
そんなアスリートの世界大会で銅メダルまで獲得した為末さんが、
「勝てないのは努力が足りないからじゃない」
といいます。
題名からすると、「諦めること」が勝つために大切なのでしょう。
「諦めずに努力し続けた者だけが成功する」
こんな言葉はよく耳にしますが、勝つために大切なことは諦める事だということなのか気になりました。
そして読んでみたところ、この本には次のようなことが書かれていました
- 目標と、目標を目指すための手段を分けて考える
- 「仕方がない」ことから、「仕方があること」に目を向ける
- 積む努力だけでなく、自分で選ぶ努力をする
- 幸せや成功の度合いにランキングなどない
アスリートが勝つということは、一般的な言葉に置き換えると「成功する」ということです。
成功したいという思いは誰の胸の内にもありますよね?
でも、思い切って挑戦してみても、成功に結び付けることは簡単ではなく、途中で継続することがつらくなることがあると思います。
この本では、成功に結び付く道は一本ではなく、成功しにくい道を歩むことは避け、一番自分に合った道を選ぶという戦略もあるのだということを教えてくれます。
目標と、目標を目指すための手段を分けて考える
著者の為末さんは、400mハードルの選手として世界大会で2度銅メダルを獲得されています。
しかし、初めから400mハードルを目指していたわけではありませんでした。短距離走の世界で最も華やかでメジャーな種目は100m走です。
為末さんも100m走で勝負したいと考えていましたが、世界のトップクラスのジュニアアスリートや、カール・ルイスといった同種目のライバルを目にして自分が努力で到達できる世界ではないことを肌で感じたと言います。
そして18歳の時に100m走での勝負を諦めました。
苦渋の決断ではあったそうです。
ですが、自分が一番に何を成し遂げたいのかを考えた時に、為末さんは「世界の舞台で勝ってみたい」というのが自分の腹の奥底にある本心だと気づきました。
だから、冷静に分析して「世界の舞台で勝つ」ことができないと理解した100m走を諦め、400mハードル走という努力次第で世界で勝てると分析した種目に転向をしたんです。
勝つことを諦めない為に、勝負するフィールドを選ぶ
この決断があったからこそ、世界大会で銅メダルを獲得するという結果に結び付いています。
・まず、自分の腹の奥底にある本心を知る
・目標と、目標を達成するための手段は分けて考える
・目標を諦めるのではなく努力次第で手が届く手段を選ぶ
「仕方がない」ことから、「仕方があること」に目を向ける
続けていることを諦めることは、
- 継続していたら、いつか成功するかもしれない
- 諦めないで頑張ってという周囲の応援を裏切れない
- 辞めたら自分の築いてきた居場所を失ってしまう
と、様々な理由で決断が鈍ります。
本心ではうすうす無理だとわかっているのに、そのことから目を背けてここまでやったら夢に向けて十分に努力したと、誰もが納得してくれる引き際まで、ずるずると決断を先延ばしにしてしまうんですね。
でも、人に与えられている時間は有限です。
何かを諦めないでいるということは、新しく始めることができたはずの可能性を犠牲にするということです。
本書の中で次のような言葉がります。
「自分はこの程度」と見極めることから始め、自分は「なんにでもなれる」という考えから卒業することだ。そこから「何かになる」第一歩を踏み出せるのではないだろうか。
為末さんは、無理だと理解している100m走に区切りをつけ、「世界で勝てる」可能性のある400mハードル走で勝負する決断をして結果を残しました。
努力しても届かない「仕方がない」ことがあると理解して、努力次第で手が届く「仕方がある」ことに目を向ける。
そのためには、今まで継続してきたこと・周囲の期待にすべて答えること・築き上げてきた人間関係や所属する居場所を維持し続けることを諦めることも必要です。
前向きに、諦める。
この言葉を本書の終わりに為末さんは残しています。
諦めることは、自分がつかみ取れる新しい可能性を選択するためのスタートでもあるんですね。
積む努力だけでなく、自分で選ぶ努力をする
スポーツで上達するためのシステムは型が決まっていて、選手がすることは苦しい努力に耐えて、コツコツ積み重ねれていくことが多いと言います。
何回素振りをするとか、何本走ったとかですね。
それに対して、「何をがんばるか」という選ぶ努力があると言います。
当然のように思われるかもしれませんが、ここができない人は多いのではないかと私は感じています。
理由は、私がやってこなかったからですね。
私は、幼稚園のころからサッカーを始め、小学校、中学校、大学時代からは社会人チームでと30歳手前まで継続して続けていました。
根気よく継続できる才能があると言えば聞こえはいいですが、本当に自分が将来やりたいことを考えて、そのために選択をしてきたかといえばそうではありません。
誤解のないように伝えておくとサッカーは大好きです。
ただ、サッカーを選択し続けたというよりは、長く取り組んで技術がつき、知り合いのコミュニテーもできたスポーツとして続けやすかったからというのが大きな理由です。
サッカーに関しては趣味でそれなりに真剣に取り組んでチームメイトと共に楽しめればいいという考えで、当初から取り組んでいました。
対して、実は格闘技に興味があって、大学に入ったころに始めてみたいと思っていました。できればプロの道が見えないかも考えました。
でも、大学生になってから始めてプロを目指すとか遅すぎるだろうなぁ、とか、試みることも、よく調べることもしないで考えたり、
サッカーを週に3日から4日取り組んでいたので、時間的にも余裕がないと思っていました。
そして、経験のない新しい分野に取り組むことに対する不安と、今まで継続してきた流れでサッカーを続けました。
ここで、真剣に悩んでサッカーを選択したならそれも一つの道ですが、流されたというのが正直な今思い返した感想です。
だからこそ、あの時挑戦しておけばよかったなぁと、やりたいと思ったことに取り組まなかった後悔があります。
サッカーはサッカーで、週3日から4日社会人になってからも継続して取り組み続けたことは、割と真剣に努力したと考えています。
ただ、為末さんが言われている、「どれだけ」がんばるかという積み重ねる努力以外に、
「何を」がんばるか「どう」がんばるかという考える努力については怠ってしまったと思います。
新しい挑戦は、過去だけではなく今この時からもできることです。
このブログも新しい挑戦です。
過去の経験があるからこそ、為末さんの諦める力を読んで響くマインドを持つことができているとも言えます。
これからの挑戦にどう向き合うか。
過去ではなくこれからの未来に向けて活かしてゆきたいですね。
幸せや成功の度合いにランキングなどない
本書を読んでいる中で共感しつつ、思わず苦笑いしてしまった文面がありました。
「やめてもいいんだよ」「やっても得にはならないよ」と言われても、意に介さずにやる人に共通しているのは、他人に評価してもらわなくても幸福感がえられているということだろう。
「こんな小さな成功で満足している自分は、くだらない人間なんじゃないか」
そんな風に思うことなく突き進める人たちだ。
「こんな小さな成功で満足している自分は、くだらない人間なんじゃないか」
この言葉をどれだけ自分に突き付けてきたかなと振り返ってしまいました(;^_^A
最近では、SNSで検索して他者と比較するケースが多くあります。
SNS上には、私からすると大きな成果をだしている人が大勢います。
そうした人達と比較してしまうと、小さな成果で喜んでいたことが恥ずかしくなることがあります。
でも、人それぞれ目指すべき目標は違います。
人と比較して劣るからと、自分の成果を卑下することはないんだなと本書を読み感じました。
昨日できななかったことが今日できるようになり、今日できないことを明日にはできるようになる。
自分が決めた目標に向けて進めているのならそれは素直に喜ぶべきことです。
行動をした結果、一歩でも前進できてそのことに幸福感を感じられたなら、その幸福感を糧に、次の一歩を踏み出すことができます。
人との比較に価値を求めるのではなく、自分が感じる達成感や喜びを大切にして目標に向けて取り組んでいきたいと思います。
まとめ
「諦める力」勝てないのは努力が足りないからじゃない
を読むと、軍略の話をイメージさせられました。
まず、本書の読み感じた要点をまとめます。
人には努力しても届かないこともあると理解する
目標を達成するための道は一つではない
勝つためには、まず、自分が勝てる勝負を選ぶ
「何を」「どれだけ」やるかは自分の価値観で決める
「何が幸せか」まで、人との比較で判断する必要はない
勝てない勝負もあるから、それは避けて勝てる勝負を選ぼう!
こう聞くと、逃げているといったネガティブな印象をいだいてしまいますが、選ぶことこそ勝つために足りていない要素なんですね。
私は、小説や漫画で好んで軍師が活躍する物語を読みます。
ただ、強い者、数が多い者が勝つではなく、
自分たちが持っている強みは何かを分析して、勝利条件を逆手にとって、真っ向勝負をするのではなく、むしろ戦わずして勝つ。
こんな物語を読んで、あ~そんな考え方があるのか、そんな手段で勝利をつかむ道があったのかと戦略に魅力を感じます。
にも関わらず、なぜか現実の自分が勝ちやすい手段を選ぼうと思うと逃げているように感じてしまうのはなぜなんでしょうかw
「戦わずして勝つ」は、有名な孫氏の言葉ですね。
また次のような言葉もあります。
「勝兵は先ず勝ちて而る後に戦い、敗兵は先ず戦いて而る後に勝ちを求む」
勝利する者は、戦えば勝てると分析をして把握してから勝負を挑み、敗北する者は、とりあえず戦ってから勝てる方法を考えるという言葉です。
素直に自分が軍師であったなら前者でありたいと思いますね。
こうして置き換えて考えてみると、勝てない勝負を諦めて、勝てる勝負を挑むのは、後ろめたさなどなく、むしろ戦略的でカッコいいです。
自分の人生について、一度戦略ゲームに置き換えて、軍師として勝てる手段としてどれだけの勝ち筋があるのか考えてみるのがいいかもしれませんね。
諦める力 勝てないのは努力が足りないからじゃない /プレジデント社/為末大
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